発行:平成26年5月23日
一般社団法人日本創造経営協会 創造経営コンサルタント部会
マスター創造経営コンサルタント-ネットワーク(MSC-NET)
Master Souzoukeiei Consultans-Network
MSC-NET通信(第13号)
去る、4月7日~8日に平成26年度第1回目のMSC-NET研究会が開催されました。その内容をMEC-NET通信でご報告させていただきます。
基調講演:創造経営コンサルタントの視点から
「 人 づ く り に 根 ざ し た 事 業 開 発 」
創造経営コンサルタント部会 事務局長 森田 雅美
1.経営の充実(本業を固める)付加価値経営への転換
中小企業は、人口減少等によりオーバーストアーの状態であり、価格競争に巻き込まれたら生き残れない(大手資本の系列化)。いかに新商品や新市場又は新事業開発をし、今までの領域を広げなければじり貧となる。量の拡大や価格競争から脱却し、付加価値経営に転換しなければならない。
2.経営者の使命感
経営者は、直面する経営危機の克服と同時に、長期的には外部環境に対応して経営目的を実現していくために、新たな事業を構想し、その具体化への経営革新を続けなければならない。この事業を構想し、経営革新を行う経営者のエネルギー(企業家精神)は、「各代の経営者がやってきている。自分もやらなくてはならない。」という強い想いであり、今起こっている環境変化の本質を捉え、その洞察力とその変化に対応していこうとする使命感である。企業家としての経営目的の創造に基づいた使命感が、変化に対する洞察力、新事業の構想力、リスクを引き受ける責任能力、事業化を推進する統率力の源となる。
経営者の、変化に対する洞察力、新事業の構想力、リスクを引き受ける責任能力、事業化を推進する統率力なくして、人づくりも、事業創造も進まない。
3.中核人材の育成
中核人材の育成の前提は、経営者の使命の覚醒であり、経営者の相手を受け入れ創造していく力が中核人材をつくる(経営者の視点から)のである。
そして、生命の通った職場は、経営者が、中核人材を育成し、中核人材がメンバーを育成していく中で生まれる。
企業の従業員観に基づく取り組みが、金銭を超えた帰属意識となり、改善活動を支えていくのである。(経営者の従業員観)
4.利害関係集団との関係性の向上(企業、経営者の信頼)
利害関係集団との関係強化・信頼関係の構築があってこそ、外へ向かって進出することができるのである。この信頼関係とは、仕事を通じてその企業が持っている価値観とその取り組みに対しての理解と共感である。
価格や製品の品質だけでなく、企業や経営者への信頼があり、価格や質を超えて関わっていける関係づくりこそが、事業開発の可能性を高めるのであり、更に、利害関係集団との関係性を高めていく中で企業群経営が可能となる。
5.企業群経営の中核企業を目指す
中小企業は、新たな業種分野を選択し、商品開発しても、広告・マーケティング機能が弱く得意先、仕入先、同業者、地域での組織化ができないと事業創造できない。
各社の関係は、各社が主体性を持ち、各社の特徴を認め合いながらの共生・共益関係でなければならない。
このような企業群の特徴は、①企業群の基本は人脈(ヒューマンネットワーク)、②企業群は自立的企業同士の共創活動、③経営者相互の創造性開発が求められ、④企業群の目的は事業開発であり、研究開発型企業群づくりが必要であり、⑤企業群経営は情報技術とネットワーク活用が企業群経営システムの活動基盤である。
テーマ研究①:創造経営コンサルティングの実際:旅客自動車運送事業者<A社の事例>
「革新するマネジメント」-小集団活動を入り口とした管理者育成
㈱創造経営センター 児玉 陽太
A社では、重大事故をおこしてしまった反省から、安全マネジメント体制の構築、ドライブレコーダーの設置、運転士を巻き込んだCS活動等、様々な方策に取り組んだ。しかし、思うような成果につながらず模索している中、「企業性格診断」を知った。
成果があがらなかった原因が自社の意思疎通度の低さと気づき、この改善のため、安全をテーマにした小集団活動に取り組んだ。その成果はめざましいものであり、3年間で、走行10万kmあたりの事故率は約三分の一にまで改善した。しかし、当初目標とした業界のトップ水準には、いたらなかった。
自動車運送事業者では、乗務員は“生活するごとく運転(仕事)をする”と言われるように、家庭における生活改善(家族との交流含めて)と職場の改善は一体である。そのためには、乗務員の人間的な背景を管理者が理解し、それを含めた現場指導を行っていかなければ事故は減っていかない。
A社ではこれらの内容を、本社メンバーが各営業所の所長や助役にまで指導を行っているのだが、最終的には、現場の所長や助役クラスが、乗務員の人間的な背景を理解し、生活面を含めた指導ができることが必要であり、業界トップレベルに至る条件である。
A社の反省点の1つは創造経営教室を活かしきれなかったことである。経営者、現場の管理者層まで参加し、個人での気づきは得るものの、自らが上司となり、部下に願いをかけ、それに応えていく風土の醸成にはまだまだ至っていない。
この反省を受け、A社では改めて、トップが幹部に願いをかけ改善に共に取り組んでいくマンツーマン指導をスタートした。その狙いは、トップや管理者が環境変化をすばやく把握すると共に、その願いを各人の仕事や現場に合わせ、自分の言葉で言い換えること、きちんと伝えていくという風土を醸成させていくことである。まずはトップが実行し、これを受けた幹部がまたその部下に展開していく。そのような幹部育成へのチャレンジをスタートしている。
テーマ研究②:創造経営コンサルティングの実際
「 創 造 経 営 取 り 組 む 認 定 支 援 企 画
創造経営コンサルタント部会 事務局 齋藤 勝美
平成24年8月30日に施行された「中小企業経営力強化支援法」に基づき、同年11月5日に「経営革新等支援機関」として第一が認定されてから、本年4月1日の認定で21,174機関となりました。いよいよ、経営革新等支援機関の「質」が問われる段階を迎えたと言えましょう。
MSC-NETでは、認定制度が誕生した当初より「創造経営コンサルタントが取り組む」認定支援機関は如何にあるべきかというテーマで研究を深めております。
経営改善計画策定にあたっては、行政・金融機関の動向把握が重要となるため、前回の「経営者保証ガイドライン」に引き続き、今回は本年2月に出された「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」について研究いたしました。
本指針では、「Ⅱ-5地域密着型金融の推進」で企業のライフステージごとの「コンサルティング機能の発揮」について詳細に記されています。こうした情報を踏まえ、経営改善計画を策定することにより関与先と金融機関との信頼関係を深めてゆくことが期待されます。
☆また、創造経営コンサルタント部会特別委員会で平成25年度に開発に取り組んでいただいた「事業継承セミナー」についてもご紹介し、参加者にご意見をいただきました。
このセミナーは日本創造経営協会が提唱する事業継承の三点セット「経営者夫妻の後継者夫妻に対する願い」・「後継者夫妻の継承に対しての誓い」・「事業創造計画(中期経営計画)」を創造経営コンサルタントが関与先に対して広め、各社にお取組みいただくものです。
スケジュール・テキスト・ワークシートで構成されており、近々会員の皆様にお送りする段取りを整えております。
※MSC-NET・日本創造経営協会創造経営コンサルタント部会に関するお問合せをお待ちしております。
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日本創造経営協会 創造経営コンサルタント部会事務局 担当 押田
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